■商工労働常任委員会(平成17年12月14日)
<質疑一覧>
 労働省のメンタルヘルス対策について
 商店ならびに商店街の振興について
 神奈川R&Dネットワーク構想に基づく取り組みについて


<質疑>
 私からは大きく三つの項目にわたって質問させていただきます。
 まず初めに、労働者のメンタルヘルス対策についてお尋ねをいたします。警察庁がまとめたところによりますと、平成10年以降、自殺者が3万人を超える状況が続いている。例えば神奈川県におきましても、平成16年の数字を見ますと1,660人、県内で毎日4人以上の方が自殺に追い込まれていると。全国比でも5%ぐらいになるのでしょうか、多くの方が亡くなっているのですね。特に40歳代から50歳代の男性の割合が高くなっている。また、精神疾患による労災認定の件数も増大しているというふうに聞いています。まず県として、働き盛りの人たちの中に、自殺や精神疾患といったものが増えていることについて、その要因、また背景を、どのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。
<答弁> 労政福祉課長
 この要因、背景といたしましては、厚生労働省の平成14年労働者健康状況調査がございまして、その中で仕事の質が問題になるというのが31%でございます。仕事の量の問題というのが32%、職場の人間関係が問題となるのが35%、会社の将来性が問題になるというのが29%ということで、具体的には会社の企業戦略の中で、高目の目標設定とか、成果主義といったものが出されているということと、先ほど数字を申し上げましたけれども、会社のリストラといった状況がございまして、それに伴いまして、精神的な負担を労働者の方が持つということが多いのではないかということが、数字的に出ているところでございます。
 具体的な数字として、自殺者は全国で約3万人の方がいらっしゃいます。平成10年から3万人を超しているというような状況でございます。併せまして、過労自殺者の方、過労死の方の数字を述べさせていただきますと、平成16年の数字で見ますと、過労死で亡くなり、認定された方は294人。厚労省の、過重労働・メンタルヘルス対策の在り方に係る検討会報告書というものがございまして、これによりますと、心疾患の労災認定件数は年間300件を超しているというような数字と、自殺者が年間3万人おり、そのうち9,000人が労働者の方であるというようなこととか、年間の精神障害者の労災認定件数が100件以上というような報告が出されているところでございます。




<質疑>
 職場の中で自殺するとか、過労死といったところに追い込まれたり、また精神を病んでいる要因というのは実に様々であると思います。なかなか客観的に突きとめられる問題ではないと思うのですけれども、ただ、その中の大きな要素である過労を引き起こす長時間労働については、客観的な把握、また、数字としての把握は可能であるというふうに思います。過労死や過労自殺の実態、また長時間労働の実態について、どのように把握をしているのでしょうか。

<答弁> 労政福祉課長
 先ほど過労死の件数等を述べさせていただきましたが、平成12年ですと85件という数字だったのですが、平成13年度に認定基準が変わりまして、平成13年ですと143件、平成14年は317件、平成15年は314件、平成16年は294件と、過労死の件数が認定基準の変更に伴いまして増えています。また、過労自殺の関係を述べさせていただきますと、これは平成11年9月に認定関係が改正されたということがございまして、それ以前の平成10年ですと、例えば4人の方が亡くなってございますが、平成11年では14名、平成12年が36名、平成13年が70名、平成14年が100名、平成15年が108名で、平成16年が130名というような数になっており、かなり多くの方が仕事で亡くなっていらっしゃるというようなことです。
 もう一つ、労働時間の関係で述べさせていただきたいと思いますが、年間の労働時間の推移について全国の数字ですが、平成13年度が1,848時間、平成14年度が1,837.2時間、平成15年度が1,845.6時間、平成16年度が1,839.6時間。若干この総労働時間の関係では減っているのですが、所定外労働時間の推移ということで見ますと、平成13年度は134.5時間、平成14年度は136.8時間、平成15年度は145.2時間、平成16年度ですと148.8時間。これを神奈川県に直しますと、平成16年度でございますが170.4時間と、全国よりはかなりの時間が増えているというような数字になっているところでございます。




<質疑>
 今労働時間について説明いただきましたけれども、この数値というのは、県の労政福祉課から見るとどういう評価になるのですか。

<答弁> 労政福祉課長
 結局過労死とかいったものが出ていることを考えますと、やはり長時間労働は健康によろしくないというふうに考えており、それに伴って多くの方がメンタルヘルスとか過労死とかという形で出ていますので、県としても長時間労働ではなく、年休をとっていただくとか、労働時間の短縮といった啓発普及を行っているというような状況でございます。




<質疑>
 そうなのですけれども、お聞きしたかったのは、今おっしゃっていいただいたこの数値というのは、レベルとしてどの程度のものなのかということなのです。

<答弁> 労政福祉課長
 国の数字では、月80時間を超すと健康障害のリスクが高いですよというようなことで、100時間はもう労災認定の要件に該当しますという一つの指標が出ています。それを考えますとやはり体を壊すまで仕事をすることはないのではないかというふうに考えています。




<質疑>
実際に心身ともに追い詰められると、労働者の心の健康対策について、当然のことながら、働く現場である企業の取組が重要であるということなのですけれども、その企業としてはどういう取組を行っているのか。また、あるいは行わなければならないとされているのか、そのあたりを教えてください。

<答弁> 労政福祉課長
 原則、企業として自分の従業員に対する安全衛生ということを図らなければならないということでございますが、大企業、中小企業、それぞれ企業の大きさによって対応が難しいということで、大きいところであれば産業医といった専門の方を置いて対応できるというようなことでございます。そういったことができないような中小企業に対しましては、回数はそれほど多くはないのですけれども、神奈川県として、人事、労務担当者の方を集めてメンタルヘルスの対応の仕方、労務時間の短縮の講座を開催するといったことをやらせていただいているところでございます。




<質疑>
 今おっしゃった中小企業の人事、労務担当者に対して講習とかということが行われているということなのですが、それは任意ということで考えてよろしいわけですね。

<答弁> 労政福祉課長
 任意でございまして、募集をかけますと、かなり会場が満席というようなことになります。そういったことで、かなりの需要があるのかなというふうに判断しています。




<質疑>
 大、中、小と企業もいろいろあるので、県内の企業についてどういった取組が行われているのかという実態を把握するのは大変難しいことだというふうに思うのですけれども、実際にそれぞれ企業でどういう取組が行われているのかということ、中小企業も含めて、県として把握することというのは可能ですか。

<答弁> 労政福祉課長
 以前調査をしたのですが、中小企業の場合ですと、メンタルといった方が出れば、雇用関係を継続するというのはなかなか難しいというようなことでございます。大企業の場合には、企業としてのキャパシティがございますので、ある程度職場復帰のプロセスとか、きちんとしたルールづくりがなされているというような状況は伺っているところでございます。




<質疑>
国も様々な対策を講じていると思うのですけれども、具体的にどういうものがありますか。

<答弁> 労政福祉課長
 厚生労働省が平成12年8月、事業場における労働者の心の健康づくりのための指針というものをつくっていまして、労働者自身のセルフケア、管理監督者のラインによるケア、産業医によるケア、事業場外の専門機関によるケアという、四つのケアを考えまして、心の健康づくり計画を策定しております。その中で、教育研修、職場環境等の改善とか相談体制というようなことで、機関を設けて実施しているというような状況でございます。




<質疑>
 県の取組としては、先ほど企業の人事の担当者に対しての講習とかという御説明をいただきましたけれども、それ以外にメンタルヘルス対策ということでは、どういう具体的な対策を講じているのでしょう。

<答弁> 労政福祉課長
 毎週火曜日でございますが、横浜労働センターにおきまして、メンタルヘルス相談室というものを設けて、専門家の方に来ていただきまして、相談を行っているということが1点でございます。
 2点目は、県内機関との連携協力というようなことでございまして、労働衛生関係ですと神奈川労働局の労働衛生課、神奈川産業保健推進センター、横浜労災病院、それ以外には精神衛生の関係ですと、横浜市の心の健康相談センターとか、いのちの電話の方も来ていただいて、協議会を開き、どういう体制をとるのかとか、お互いに情報を交換しています。




<質疑>
 今いろいろ教えていただいた中には、Eメールで相談を受け付けてくれたりするところもありますね。やっぱり大事に至る前に本当に気軽に自己診断ができたりとか、カウンセリングを受けられたりとか、できるだけいろいろなところに入り口をつくってあげるというのも、行政の大事な役割なのかなというふうに思うのですね。これは既にあるのだとすればいいのですけれども、例えば、自分の心の中にいろいろ重いものを抱えてしまって、だれにも話せないということになったときに、今の人は割と人に話すよりも、インターネットの中に何か手がかりはないだろうかとか、そういう行動に出ることも恐らく多いのだろうなというふうに思います。そういうときに、自殺サイトに引っ張られてしまうのか、それとも救いの手を差し伸べてくれるところに行けるのかというのは大きな違いで、県で働く人のメンタルヘルス相談というのがあって、無料で毎週1回やっているとのことで、大変貴重な事業だというふうに思うのです。
 ただ、一方で実際に出掛けていくというのも、物すごくエネルギーがいることで、例えば、インターネットで、今、メンタルクリニックも大変市中に多く、心療内科の先生、精神科の先生が開業されているのですけれども、私もいろいろ相談を受けていて、私たちも、その探す手だてがなくてインターネットなどに頼るのですよね。どんな先生がどんなところにどんなクリニックを開いているのか。これは、ホームページで云々ということではなくても、例えばメンタルクリニックを開業している先生方にまずネットワークのようなものをつくっていただくと。これは当然、保健福祉部との連携というものも重要になってくると思うのです。これは無料なのだけれども、無料だからといって気軽にかかれるというわけでもないので、有料でもいいから、自分に合ったクリニックを中で見つけられるような、言ってみればメンタルクリニックのポータルサイトみたいなものを、労政福祉課と保健福祉部といったところが連携をしてつくっていくのも一つの方法ではないかなというふうに思っているのですが、いかがですか。

<答弁> 労政福祉課長
 それは研究させていただくというようなことでございますが、Eメールの方だけ話をさせていただきますと、商工労働部の方でつくっている冊子がございまして、「職場のメンタルヘルス対策を進めるために」という冊子の中で神奈川産業保健推進センターと横浜労災病院で、それぞれEメール、インターネットによる相談を行っておるということで、四六時中相談があるというような話を伺っています。
 またお医者さんの関係で、保健福祉部等もございますので、そこら辺は調整させていただきながら考えていきたいというふうに考えています。




<要望1>
 前向きに進めていただければ、選択肢の一つではないかなというふうに思いますので、よろしく御検討いただきたいというふうに思います。
 それでは、要望を申し上げますが、まだ景気も先行きが不透明で、雇用経済もどんどん変わっている中で、特にITを使った技術革新でありますとか、成果主義というのも、いつの間にかすごいスピードで導入をされていて、勤労者に与えるストレスというのも大きくなっていると思うのですね。そういう状況の中で、県としても関係機関、また、今私が申し上げた精神科の先生方の団体など様々な団体と連携、協力をして、県内勤労者の皆さんのメンタルヘルス対策の、より一層の充実に向けて、最大限の努力をしていただきたいと思います。




<質疑>
 次は、県の商店、また商店街の振興の推進についてお伺いをいたします。これまでも商店街の振興については質問させていただいているのですが、商店街に活力を取り戻すには、結局は一つ一つのお店が元気にならないと難しいということがあると思います。また、商店街団体が地域の一員として、役割をより一層果たすとうことも必要だというふうに思います。県としても様々な表彰制度、開業支援といった商店づくり、また商店街のコミュニティ機能を強化する支援策など、様々な商業振興策を設けて取り組んでいるところであると思いますが、その推進状況について何点かお伺いをしたいと思います。
 まず、先月、優良小売店舗表彰というのが今年度も行われたと聞いていますけれども、この制度の概要と、またどういった店舗が、どういった特徴を持ったお店が、どういう視点で評価されて表彰されたのか、そのあたりをちょっと御紹介いただければと思います。

<答弁> 商業観光流通課長
 優良小売店舗表彰は、独自の経営理念によって個性ある店づくりに努めて、地域経済の発展に寄与している優良な店舗を表彰するということで、県知事と商工会議所連合会会頭、それから商工会連合会会長と連名で表彰している制度でございます。幾つか表彰の対象となるような条件はございますけれども、代表的なものをお話しさせていただきますと、営業年数の実績が5年以上あるということ。また、保健衛生とか防災対策といったものが優良であると。それに加えて先ほどお話ししたような独自のサービスとか個性的なこだわりを持っているとか、高齢者、障害者への配慮をしているとか、環境問題に配慮した取組を行っているというような、他の模範となるような店舗を対象としております。
 今年は34店舗表彰させていただきましたけれども、その中で幾つか例をお話しさせていただきます。例えば、相模原市若松の「おはなやさん」、その名のとおりお花屋さんでございますけれども、レシートを5枚集めて、その合計金額の10%を金券として使うことができ、誕生日にはブーケをお届けするというようなサービスもされて、お店の方が繁盛しているという。また、鎌倉市雪ノ下の「鎌倉彫安斎」は大正13年からの老舗でございますけれども、全面的に改装してショーウインドー化を徹底的に図りまして、古典的な取り扱い商品ではございますけれども、思い切った近代的な店舗として約30%の売り上げアップと、こういうような例がございます。




<質疑>
 そういった意欲を持って頑張っているお店を表彰するというのは、大変そのお店にとって励みになる、意義があることだと思いますけれども、その表彰されたお店を広く周知していくということも大変重要なのかなと思います。ほかの店の成功例を知ることで、自分もではこういうトライをしてみようと、そういうふうに考える商店主の方も多いと思うのですね。私もこの記者発表資料をいただきましたけれども、どんなお店がどんな理由でというのは、ごく簡単に書いてあるのですが、この中身を広くPRするということがすごく大事だと思います。そこで、県としてはどのような方法をとっていらっしゃるのでしょうか。

<答弁> 商業観光流通課長
 委員のおっしゃるとおり表彰だけではやっぱりもったいないと、これは審査会の方でもそういったお話が出まして、審査をしている私としても行きたいというお店がたくさんございましたので、昨年からホームページで1年間掲載するということと、今年度からホームページを開設している店は、トップにリンクするというような形をとっております。また、新たに、今年度は、より多くの人に知ってもらうということで、リーフレットをこれから作成しますけれども、2,000部程度作成して、商工会とか商工会議所、それから市町村等といったところに幅広く配布してPRに努めていきたいと思っております。




<質疑>
 今日資料としていただいた(財)神奈川中小企業センターで発行している「あなたの店も繁盛店になれる」にも様々成功したお店のいろいろな戦略が載っているわけですけれども、これと優良小売店舗の表彰とは全然違うものなのですか。

<答弁> 商業観光流通課長
 直接リンクはしませんけれども、私どもの仕事と非常につながりがあるようなところで、目立つものということでピックアップさせていただきますが、必ずしも先ほどの優良小売店舗表彰とかというものではありません。




<質疑>
 この(財)神奈川中小企業センターでつくった冊子を読んでいて、随分かたい編集にはなっているのだけれども、非常によく分析されていて分かりやすいのですね。こういったものを何千部、どのぐらいつくっているのか分かりませんけれども、お店の成功例をきちんと残して、またより詳しく県内にPRしていく、読んでもらうということも大事なのかなというふうに思うのですが、お金がかかるかなということも思うのです。例えば、別に県がお金を出してつくらなくても、本当にいい店をピックアップしてそれを表彰して、その中身をきちっと優秀なライターに取材をさせて書かせれば、それ自体が商品になるわけですね。自前でお金をかけてつくらなくても、いろいろなメディアを活用しながら、そういった県のやっていることをPRしていく、そういうお店の成功例を出していくというようなことも考えられるのかなと思うのですが、そのあたりはいかがですか。

<答弁> 商業観光流通課長
 今後の課題として、私どもは仕事の関係でいろいろな事業者とお付き合いすることもありますので、何か機会があり、そういったことに話が及ぶのであれば、言っていきたいと思っています。




<質疑>
 お金のかかる話ではないので、是非前向きに取り組んでいただければと思います。
 次に、商店街の中の新規開業の促進として、チャレンジショップ支援事業というのがありますけれども、その概要について教えてください。

<答弁> 労政福祉課長
 (財)神奈川中小企業センターの方で募集、認定、それから最後まで事後指導を行うということでやらせていただいておりまして、委員お話しのとおり、商店街の魅力ある店舗の新規開業によって商店街が活性化するということで、チャレンジ精神あふれる方々を支援するということでやらせていただいております。
 具体的な流れとしては、今年から2回にさせていただきますけれども、春と秋に公募をいたしまして、認定者を決定いたしまして、認定者にはそれぞれ開業前に解決すべき課題とか、店舗選び、店舗レイアウトなど、そういった助言をし、開業に際しては、なるべく商店街の空き店舗を活用していただく。そういった場合に、改装費とか賃借料を最大2年間助成するといった形でやらせていただいております。




<質疑>
 新しいお店を開業させ、商店街の活気を取り戻すことは、大変重要な事業だと思うのですけれども、これまでの実績と、今年度の取組状況はどうなっているのか。

<答弁> 商業観光流通課長
 今年度は第1回まで73件の申請に対しまして31件を認定し、これまで15件開業してございます。その15件のうち12件の開業者に改装費、家賃補助を行っているという状況でございます。業種は例えば、手づくり総菜店、足つぼマッサージ店、オーダーメード各店等、いろいろな様々な業種に分散しております。今年度から2回の審査を行っている状況で、第1回は20件の申請に対し、4件の認定を行い、既に1件が開業しております。第2回については、現在、12件の申請があり面接を行い、最終的には2件程度になるだろうとは思いますけれども、今そういった状況でございます。




<質疑>
 県として、今後こうしたやる気もあってなおかつ十分なポテンシャルを持った商店、また商業者への支援について、今後どのように考えていらっしゃいますか。

<答弁> 商業観光流通課長
 今までは、商店街ということで面的な支援をさせていただいておりましたけれども、やはり地域の核となるような店舗を育て、やる気のあるようなお店を支援して、それがいろいろな波及効果を起こすということで、点に対して力を入れていかなければいけないと。例えば、先ほどお話ししていた表彰とか、チャレンジショップ支援事業のほかに、本年度新規事業としましては、商店経営革新モデル支援事業ということで、本当にやる気のあるところに対して、(財)神奈川中小企業センターがやはり窓口となってやらせていただいておりますけれども、計画作成から実施まで一貫した新事業を行うということで、当初私どもの予算では6社程度ということでやっておりましたけれども、いろいろと応募に力を入れて、今のところ10社を支援するということで、かなりレベルアップするような計画で、実施に向けて力を注いでおります。
 それからまた、例えば、川崎市中原区の元住・オズ商店街の一店逸品ということで、これも幾つかほかのところでやっていただいておりますけれども、これは自分の店の一番いいところは何かということを皆さんにもう一度考えていただいて、そういったところに専門家の派遣やモニターによる商店街ツアー、こういったものを実施させていただいております。




<質疑>
 面から点への転換ということで、商店街を活気づけるのは魅力ある点の集積だと思いますので、方向性としては大変よろしいのではないでしょうか。
 次に、商店街と地域の連携ということについてお伺いしたいと思いますが、NPOとの連携で活性化に取り組んでいる商店街に対する支援というのは、神奈川県商店街支援会議において行われておりますけれども、まずその取組の経緯についてお伺いをいたします。

<答弁> 商業観光流通課長
 最近の情勢ですと、例えば、女性の社会進出により保育需要が高まっているとか、高齢化によって高齢者対応を地域として解決するということ、そういった中でコミュニティ活動が盛んになってきているということで、このコミュニティ活動の推進という中心的な役割はNPOが果たすということが多くなってきているわけです。一方、厳しい状況の中で、地域のまちづくりの中心である地域交流の場、それから地域コミュニティの場として、商店街が役割を果たすというようなことで、そういった活性化を目指す商店街が現れてきております。  県では、平成12年度に商店街連合会など商店街活性化に関係する団体と、商店街支援会議を設置しまして、そこで相互に事業連携をさせていただいたり意見交換等をさせていただいております。その中で、調査研究として平成16年度に、商店街とNPOの連携をテーマに取り上げまして、商店街のコミュニティ機能の充実強化による活性化に対する適切な支援ができるような知識を深め、その成果を商店街等に広めることによって商店街、NPOの地域に対する取組のきっかけづくりというのを行いました。今年度は平成16年度の調査研究の成果を踏まえまして、商店街活性化に向けて、NPOとの連携の一層の促進を図るために商店街を選定し、それとの連携を希望するNPOを募集して、実験的なモデル事業を推進しているという状況でございます。




<質疑>
 今年、港南台の商店会と伊勢原の商店会が、商店会と連携してくれるNPOを募集をされました。その後、どんな形になっていますか。

<答弁> 商業観光流通課長
 港南台の商店会の方では、港南台商店会テント村ということで、フリーマーケットを定期的にやっておりまして、ここでNPO法人のアジア障害者パートナーズというところから申し出がありましたので、そこと連携しながら今後事業を進めていこうということで、今打ち合わせをしております。
 それから伊勢原市商店街連合会の方では、ホームページを立ち上げておりまして、それを改善し支援してくれるようなところを募集したところ、NPO法人の伊勢原市民活動センターというところにおきまして、今後、調整を進めていくというような状況でございます。




<質疑>
 港南台の方の応募は1件だったということでお伺いをいたしました。幾つかのNPOが手を挙げてその中で力量を比べられればいいのですけれども、1件だとなかなか難しいのかなというふうに思います。ただ、県としても引き合わせた責任みたいなものも当然あるわけで、今後しっかり見守っていっていただきたいと思いますが、始まったばかりなので、今後またどうやって盛り上げていくのか、是非様々な工夫をしていただきたいというふうに思います。
 そういう点も含めて、今後商店街とNPOの連携というのは、まだ緒についたばかりだというふうに思うのですが、具体的にどういう形で商店街の活性化を進めていこうというふうに考えているのか。

<答弁> 商業観光流通課長
 これから商店街が生きていくには、地域との連携というのが一番重要だと思います。そういった中でこれからどんどんNPOというのも広がりを見せてくると思いますので、今後は、今年度実施しているモデル事業の内容を一つは検証して、それから商店街とNPOのそれぞれの役割、特性に協調して取り組めるよう、その上での課題等を整理、まとめていく予定でおります。そうした実験を踏まえて、地域コミュニティの場として役割を果たす商店街を支援し、商店街の活性化を図っていくための支援施策を続けたいと考えているところでございます。




<要望2>
 それでは、要望を申し上げますが、商店街がにぎわいを取り戻すためには、先ほどお話が出ていますが、まず、それぞれのお店が、商店が元気になるということが必要であると思います。様々な支援策がありますので、是非商業者の皆さんに積極的にPRをしていただいて、活用してもらわないといけませんから、その活用をしっかりと促して、魅力ある商店づくりを積極的に支援をしていっていただきたいというふうに思います。
 また、NPOと地域社会との連携、協働も、大変大事なことだと思うのです。しかしそこは県がまだNPOをなかなか見きわめられない部分もあると思うのですけれども、その辺は、しっかり県が主体的にかかわっていただいて、是非まちづくりの拠点としての商店街の活性化が進むように、引き続き御支援をしていっていただきたいと思います。




<質疑>
 神奈川R&Dネットワーク構想に基づく取組についてお尋ねをいたします。
 インベスト神奈川でこれまで21社から22件の投資が表明されたと。その多くが大企業の研究所の増設でありますとか、新設というふうになっています。こういった研究所の集積の効果を県内の中小企業に波及をさせる。また、技術力と競争力の向上を図るために、神奈川R&Dネットワーク構想をまとめ、それを推進しているというふうに承知をしています。そこで、この構想の中で進められている取組につきまして、幾つかお伺いをしたいと思います。  まず過日の新聞にソニー株式会社で県内中小企業のオンリーワン技術について、新技術展示会というものを開催したという記事が掲載されておりましたけれども、この展示会というのは神奈川R&Dネットワーク構想の一環であるというふうに聞いています。この構想の中でどういう位置付けで行われた事業なのか、またどのような内容であったのか、併せてお伺いをしたいと思います。

<答弁> 工業振興課長
 今回の取組は、県内中小企業の技術を大企業に活用していただく、こういった位置付けで取り組んだものでございまして、今回はソニーの希望する技術分野10分野をお示しして、産総研のホームページで公募するとともに、産総研の企業情報、さらには(財)神奈川中小企業センターの推薦などにより160をリストアップし、その160社をソニーと産総研で協議をして出店企業36社を決めました。展示会は品川にありますソニーのテクニカルセンターで11月10、11日の2日間行われまして、ソニーの研究者、技術者を対象に行いました関係で、1,230名の方に御参加いただきました。




<質疑>
 今ご説明いただいた展示会というのは、ソニーの研究者や社員といった方々を対象に行われたというふうに思いますけれども、ほかにも今後、県内の中小企業のいわゆるオンリーワン技術というものを、より多くの大企業に活用してもらうための取組があれば伺いたいと思います。

<答弁> 工業振興課長
 県内中小企業のオンリーワン技術をより多くの大企業の方々に活用していただくために、我々それぞれの技術分野でオンリーワンの独自技術をお持ちの中小企業を大企業に紹介し、活用していただくフォーラムを考えております。具体的には、11月に光関係でオンリーワン技術を持っておられる県内中小企業さん6社に、それぞれの独自技術を紹介していただくフォーラムを開催いたしました。今後も技術分野別にこうしたフォーラムを計画していきたいと思っておりますし、例年2月にテクニカルショウヨコハマが開催されます。こうした展示会での展示、さらには産総研のホームページにおけるバーチャル展示、こうしたものも考えていきたいと思っております。




<質疑>
 今回の取組というのは、中小企業の持っている技術を何とか結実させるというか、利益につなげるということが大きな目的だというふうに思うのですが、ということは、これによってソニーだけがおいしい思いをするというのは是非避けないといけないことだと思うのです。当然中小企業の技術を大企業で活用するという場合は、その中小企業のオンリーワンと言われている技術を、ある程度公開しないといけないということがあるわけですね。そういうことで、逆に不利益を受けるということも考えられるのかなと。
 例えば、アイデアのただ乗りとか、そこまでいかなくても、今回の場合はソニーの研究者が参加をして、もしかしたら数字を間違えて覚えているかもしれませんけれども、ソニーの知的財産を管理する所長にお話を伺ったときに、たしか特許とか実用新案で、年に1万3,000件とかそのぐらい上がってくるのだというお話を聞きました。ということは、研究分野が多岐にわたっていて、ほとんどある意味で網羅的であると。そうすると、当然ソニーの技術者の方々は、何らかのヒントを得られるということも考えられると思うのですよ。アイデアのただ乗りとかまでいかなくても、御自身で研究されているテーマで、その中小企業の持っている技術を見て、それをヒントにして、自分の研究開発にそのまま役立てるというようなことも考えられるのではないかなというふうにも思ったりするのですね。
 そういったところの、セーフティネットといいますか、それもしっかり考えておかないといけないのかなと思うのですけれども、その辺はいかがでございましょうか。

<答弁> 工業振興課長
 私ども、中小企業の皆さんが、そうした点に懸念をお持ちだということを承知しております。今回の展示会について、ソニーとの打ち合わせ会の席上でも、私どもから中小企業さんの懸念を伝えさせていただいております。また、ソニーが参加企業に事前説明会を開催いたしましたけれども、この折に、県として特に知的財産の契約に詳しい弁理士さんにお願いしまして、契約の注意事項について御説明をいただきました。また、展示会当日は、特許情報の活用支援アドバイザーと特許流通アドバイザー、この2名を常駐させまして、中小企業の相談に応じることといたしました。




<質疑>
 分かりました。県内に中小企業がどれぐらいあるのか分かりません。本当に無数にある企業の中から、オンリーワン技術というのを各種探すというのは具体的にはどういう作業をされているわけですか。

<答弁> 工業技術担当課長
 県内の中小企業は、研究開発あるいは技術開発の過程で、産総研に相談や依頼試験、あるいは受託研究など、かなりの数を頼んできているのですけれども、そういう数々の相談、依頼試験、研究、受託研究等を産総研に依頼するときに、その専門の技術分野の職員が直接接しておりますので、個々の企業がどのようなすばらしい技術を持っているかということを把握することができます。さらには、県で行っているいろいろな評価事業、例えば、神奈川工業技術開発大賞とか、(財)中小企業センターでやっておりますビジネス可能性評価事業、あるいは今年から始まりましたかながわスタンダード認定事業、さらに各種の補助金なども、新製品には専門の職員が行って技術調査を行っておりますので、どのようなオンリーワン技術があるかということを把握することができると。そういうような情報をもとにして、オンリーワン技術の発掘を行っております。




<質疑>
 今御答弁いただいたように、神奈川県には様々な中小企業の技術情報があるということで、こういった情報を活用するために、神奈川R&Dネットワーク構想ではデータベースを構築するというふうになっていますけれども、データベースといってもどんなデータベースを構築していくのか。また使い方としてはどのようなことを考えているのか、お伺いしたいと思います。

<答弁> 工業技術担当課長
 データベースでございますけれども、先ほどお話ししました産総研に、日ごろ利用されております中小企業が技術相談、依頼試験、受託研究等いろいろな情報を提供してくださいますので、そういうようなものを、まずデータベースの中に入れております。さらに、神奈川R&Dネットワーク構想を推進する中で、大企業から中小企業への技術移転のフォーラムなどやっておりまして、また、ソニーで行った展示会でのオンリーワン技術、そういうような情報を入れております。さらには、オンリーワン技術フォーラムの過程で情報を得ております。そういうようなデータをさらに加えていくと。それにプラスいたしまして、最近大学の研究成果というものの情報を得るように特に力を入れており、そのデータを入れていくと。
 そういうような形でつくりましたデータベースは、完全にすべて公開できるわけではありません。例えば公開しますと、先ほど委員から御指摘のありました大企業が持っていってしまうなど、そういうことも起こり得ますので、そういうデータを欲しいという企業に紹介する場合には、必ず相手方の企業の承諾をとって、しかも先ほどお話がありましたような特許等、知財等の地位もきちんとして御紹介していくと。その中で、公開可能なものにつきましては産総研のホームページ上で、だれでも自由に検索できるというような形で出していきたいというふうに考えております。




<要望3>
 それでは、最後に要望を申し上げて質問を終わります。
 県内の中小企業の技術が大企業で活用される、また、大企業と県内の中小企業の連携が盛んになって、中小企業の技術力また競争力が向上していき、経営環境が改善されるということを期待するわけであります。また、このような連携関係を築くに当たりまして、県内の中小企業の不利益にならないように十分配慮をしていただきたいというふうに申し上げるとともに、積極的な中小企業支援を今後も推進していただけるよう希望いたしまして、質問を終わります。