■防災警察常任委員会(平成17年3月17日)


<意見発表>
 防災警察常任委員会に付託された諸議案につきまして、公明党神奈川県議会議員団を代表して賛成の立場から意見発表をさせていただきます。
 防災局関係について申し上げます。
 昨年は豪雨、台風、地震、津波と自然災害が相次いで発生し、大きな被害をもたらしたところでありますが、同時に私たちに自然の猛威を再認識させる機会となり、さらに県の防災対策について改めて検証を促すものとなりました。この2月には、新潟県中越地震やインド洋大津波における課題や教訓を踏まえ、地域防災計画の修正が行われ、防災対策の見直しが進められたところであります。そうした中、本常任委員会に付託されております防災局関連の平成17年度当初予算案でありますが、事業費ベースでの実質的な比較では16年度予算に比べ約10億2,700万円の増額が図られており、その内容についても防災上重要建築物の耐震診断の前倒し実施、防災行政通信網の整備開始、神奈川県市町村地震防災対策緊急支援事業の継続実施、防災活動用備蓄資機材の充実など、きめ細かな予算化が図られております。防災局においては、厳しい財政状況をしっかりと認識し、適切な予算執行に努めるよう強く要望いたします。
 次に、石油コンビナート地区の防災対策についてであります。
 本県は東京湾の臨海部に国内最大級の石油コンビナート地区を抱えており、多くの石油タンクや高圧ガス施設等が立地しております。最近、重大な事故が多発している状況にあって、本県の石油コンビナート地区は一たん大規模な災害が発生すると、事業所はもとより周辺地域にまで被害が広がるおそれがあり、より一層の防災対策が望まれるところであります。国は一昨年9月に北海道苫小牧市で発生した十勝沖地震による石油タンクの全面火災を受けて、石油コンビナート等災害防止法の改正を行い、防災資機材の機能強化や事業所における防災体制の強化などを図ったところであります。
 本県でもこの法改正を受けて、17年度から防災アセスメント調査を実施することとなり、平常時における火災、爆発等の災害及び地震発生時の強振動による災害、液状化やスロッシングによる災害を想定して、具体的な災害想定を行うとともに、防災対策の基本的事項の検討に着手することとなりました。この調査を着実に進めていただき、災害の発生から初動期、また災害規模が大きくなってしまった場合に適切な対応を行うことができるよう、石油コンビナート地区の総合的な防災体制の充実強化を強く要望いたします。
 次に、一般住宅の防火対策についてであります。
 国では住宅火災における死者の急増、とりわけ高齢者の死者の割合が増加していることを背景として消防法を改正し、一般住宅にも住宅用防災機器として住宅用火災警報機の設置及び維持を義務付けることとしたものであります。新築住宅は平成18年6月1日から義務付けられ、既存住宅についての適用時期は各市町村の条例に定めることといたしました。この火災警報機については、一般住宅への設置義務化と普及促進の先達である米英の実績を見ると、死者数では米国では21年間に5割減少し、英国では13年間に4割減少しており、大きな成果が認められるところであります。東京都では、消防法の定める期限を待つことなく、新築住宅については平成16年10月1日から火災警報機の設置を義務付けるよう都条例を改正し、施行しております。本県においても、住宅火災による死者数の4割強が65歳以上の高齢者である点、そしてその7割近くが逃げ遅れてお亡くなりになっている点などを合わせて、早急な対応が強く求められます。県当局は住宅用火災警報機の設置義務化について、市町村と積極的に調整を進め、住宅への早期設置を図るとともに、その必要性について住民の理解が深まるよう、市町村消防と連携して普及啓発を図るよう強く要望いたします。
 以上、数点にわたり申し上げましたが、新年度には防災局の組織を拡充し、安全防災局がスタートすることとなります。県民の総合的な安全、安心の確保に向けて、防災対策のより一層の充実強化を図られることを要望いたします。
 本常任委員会に付託された防災局関係全ての議案について賛成をいたします。
 次に、警察本部関係の諸議案について意見発表をさせていただきます。
 本県の治安情勢については、県警察が一丸となって推進している街頭犯罪等抑止総合対策の結果、刑法犯認知件数が減少するなどの成果が見られるものの、振り込め詐欺などの新たな犯罪の増加など、依然として憂慮すべき状況にあり、県警察のなお一層の御努力をお願いするものであります。
 県警察では、平成17年度に警察官240人の増員が予定されており、平成13年度から連続5年間で1,520人の増員が図られるものと承知しております。しかし、警察官1人当たりの人口負担は全国平均を上回る状態が続いていることから、県警察の当面の目標である人口負担500人に向け継続して増員が図られるよう、努力を続けることを要望いたします。
 また、くらし安全指導員については、活動開始以来記録としてまとまっているものだけで出動回数2,369回、延べ人数にして4,478人にのぼる方々が防犯教室や交通安全教室などでその任務に当たったと伺いました。その活動が警察官何人分に相当するかということについては、従来警察官が対応し切れなかったところまで活動のすそ野が広がっていることから、数値で表すことが困難という御答弁でした。しかし、これは知事がマニュフェストで掲げた警察官の1,500人増員が困難になり、その後目標を転換し、警察官の増員は1,000人、残りは非常勤職員の300人増員とくらし安全指導員の200人配置で、警察官等の実質的な増員1,500人を図るとした行政システム改革の中期方針に関わる問題です。ここで言う1,500人の増員とは、あくまでも見かけ上の1,500人であり、到底実質的な1,500人には当てはめられません。くらし安全指導員の200人と警察官の200人は全く違うものです。警察力のより実質的な強化を図るためにも、くらし安全指導員の設置効果、増員効果を警察官の人員に換算して測定することが必要であると考えます。
 一方、県警察では平成16年度から地域における犯罪抑止と事件、事故が発生した際の被害者の早期救護や被疑者の検挙及び事後の捜査に資することを目的として、スーパー防犯灯の整備を開始し、平成17年度も継続して取り組むものと承知しております。平成17年度の設置予定は平塚、新横浜、相模大野、京急鶴見の4箇所、予算1億690万円ということで、16年度と比べコストダウンの取組に一定の成果が表れたものと評価しています。しかし、通信技術の革新は日進月歩の勢いであります。最新の技術を採用することにより、性能の向上とコスト削減の両立が図られることから、県警察として広く最新技術の開発状況に注意を払うよう要望するところです。また、設置数を増やすことで犯罪抑止効果の向上が期待できることから、高機能化の一方で場所によっては機能を簡略化して大幅なコストダウンを図った通報装置、例えばカメラ機能を省いた街角インターフォンのような装置を普及させることも一計であると考えます。スーパー防犯灯等の設置のための財源についても、市町村の費用負担を可能とする方法を模索するなど、整備促進のため一層の御努力をお願いいたします。
 次に、警察では平成17年度に非常勤職員である留置管理業務専従員を増員する予定と承知しております。警察の仕事の中で最も目立たない業務である留置業務でありますが、留置人の逃走などの事故が発生すれば、当然に県民の不安は高まるものであります。留置場で働く職員の体制はもとより、留置場の勤務環境についても十分配慮されるよう要望いたします。
 以上、意見、要望を申し上げ、公明党神奈川県議会議員団は今回提出されている警察関係の諸議案のすべてに賛成するものであります。