■平成17年度予算委員会(3月10日)
<質疑一覧>
 救命救急センターの整備について
 災害派遣医療チームの設置について
 急傾斜地対策事業について
 児童・生徒の安全について
 県営住宅について


<質疑> 
 昨年は国の内外で大きな災害が続きました。台風、地震、津波。しかし、我々の生活を脅かすのは、それら自然災害だけではありません。SARSや鳥インフルエンザといった感染症、凶悪化、巧妙化する犯罪。さらにはテロの脅威とさえ背中合わせに生きていく時代になってしまいました。
 本県でも平成17年度当初予算での重点的な取り組みの一つに、県民の安全・安心の確保ということを上げております。そこでこの安全・安心に関連して何点かお伺いします。
 現在、救命救急センターは、県内に7カ所と承知をしております。災害も含めた緊急時に高度な医療を提供することができる医療機関として非常に重要な役割を果たしておりますが、その所在地が県の中で偏っている。すなわち7カ所のうちの4カ所が横浜市で、あとは川崎市と相模原市と伊勢原市に1カ所ずつであります。救命救急センターは3次救急医療に当たりますので、それぞれ全県域を対象とした医療機関ではありますが、やはりいざというときには少しでも近い地域に救命救急センターがあって、そこで最高レベルの治療を受けたいというのは県民の願いであります。
 そこでお伺いします。いまだ救命救急センターが整備されていない地域についてどのようにしようと考えておられるのか。私としては、県が積極的に医療機関を支援してセンターの整備を進める必要があると考えているわけですが、今後の救命救急センターの整備と開設の方向性をお聞かせください。

<答弁> 中沢医療整備課長
 本県では神奈川県保健医療計画におきまして、一般的な保健医療の需要に対応する区域として、11カ所の2次保健医療圏を設けまして医療施策を進めているところでございます。救命救急センターにつきましても、未整備の2次保健医療圏について3次救急医療機能の確保策を検討することを整備方針の一つと位置づけております。
 現在、五つの2次保健医療圏で救命救急センターが未整備となっておりますが、このうち、湘南東部、川崎南部、横須賀三浦の三つの医療圏につきましては、整備に向けた具体的な準備を現在進めているところでございます。
 今後とも救命救急センターの整備につきましては、引き続き全県的な地域バランスを考慮しつつ、関係各医療機関と調整に努めていきたいと考えております。




<質疑> 
 今後も積極的に整備を進めていただきたいと思うわけですが、次に、災害医療拠点病院についてお伺いします。
 現在、県内には30の災害医療拠点病院が指定されています。災害時に救護所や地域の病院の後方医療機関として地域の医療機関を支援する、あるいは重症、重篤な傷病者を受け入れるなど、医療救護活動において中心的な機能を果たすことを使命として課せられた病院であります。
 厚生労働省の基準では2次保健医療圏に1カ所ということになっていますが、本県では人口30万人に1カ所を目途に2次保健医療圏ごとに複数の設置を進めています。しかしながら、大規模災害時の状況を想定いたしますと、さらに充実を図らなければならないのではないか、そう考えるのであります。
 現在、指定されている30の災害医療拠点病院は、いざ大規模な災害が起きたときに、一体どれくらいの数の傷病者を受け入れることができるのでしょうか。お尋ねします。

<答弁> 立原災害時医療対策担当課長
 お答えいたします。
 災害医療拠点病院の受け入れ患者数についてでございますが、平成15年度に拠点病院に対しまして、どの程度患者を受け入れられるかという調査をしたことがございます。その結果で申しますと、災害発生から24時間の間に受け入れられる患者の数として、平日昼間、約16,000名、休日あるいは夜間ですと半分になってしまいますが約8,000名ということで結果が出ております。これ病院が被災をしていない、それからスタッフが時間を追って参集することができるということを想定して調査した、あくまでも試算ということでございます。
 以上でございます。




<質疑> 
 神奈川全域で16,000人というお答えでした。例えば横浜市域ではどのくらいになりますか。

<答弁> 立原災害時医療対策担当課長
 お答えいたします。
 横浜には拠点病院として12ございます。その合計数字でいきますと、約6,200名という数字が出ております。
 以上です。




<質疑> 
 横浜市域で6,200名ということですが、その病院には当然既に入院されている患者さんもいるわけで、廊下とかロビーとか使って、余り想像したくはありませんけれども、さながら野戦病院のような様相を呈するのかなというふうにも思います。
 キャパシティを考えるとさらなる整備、また新たな指定、そして指定した病院に対する役割とか使命の指導、啓発がやはり不可欠なんではないかというふうに思っています。
 その点、県はどのように進めていかれるのかということと、また、先ほど平日昼間と、また休日夜間で受け入れる人数にかなりの差がございますね。倍ぐらい違う。多分、医師の調達がつかないとかいろいろなことがあると思います。それで町のお医者さんは、いざ大災害が起きたときには、まず自分の医院とかそういうところで診察をするとか、救護所に行くとかというようなことになっているというふうにお聞きしていますが、例えばこの拠点病院、そちらに駆けつけるというようなことも方法としてはあるのでしょうか。

<答弁> 立原災害時医療対策担当課長
 基本的に、町にございます診察所の医師につきましては各市町村との協定がございまして、市の救護所等に派遣されるという話になっております。
 拠点病院に対しましては、拠点病院以外のお医者さんがどこから来るかということになりますと、拠点病院同士のお医者さん、被災されていない拠点病院からの救護班の応援という形でやるようになっております。
 以上です。




<質疑> 
 今最初の問いがキャパシティを考えると新たな法整備が必要なのではないかと、指定も必要なのではないかと。あと病院に対してのさまざまな指導をどういうことをやっているのかということもお尋ねしたんですが。

<答弁> 立原災害時医療対策担当課長
 今後の拠点病院の整備についてでございますが、先ほど先生おっしゃいましたとおり、国の基準によりますと2次保健医療圏に1カ所整備をするということになっております。本県におきましては、1次保健医療の人口が多いということから、2次保健医療圏に二、三カ所程度ということで、約30万人を基準に考えています。これまでそういうことで30の拠点病院を整備したということになっております。
 個別の2次医療圏の状況を見てまいりますと、やはり人口の多い横浜だとか、それから川崎については、人口の割に拠点病院の数が少ないという状況には現在なっております。そのような地域におきましては新病院の建設等、そういった機会をとらえまして追加指定を行いまして、拠点病院の確保をしていきたいというふうに考えております。
 現在のところ、平成18年までに二つの病院が新たに災害医療拠点病院として開院するということで、追加をする予定に考えております。
 それから拠点病院に対する指導でございますが、拠点病院につきましては災害医療拠点病院連絡協議会というのができております。これは毎年月1回以上、数えてみれば十何回というふうになりますが、拠点病院のメンバーを集めまして災害時の医療に対する考え方、マニュアルづくり、あるいは訓練等について検討を加えているという状況でございます。
 以上です。




<質疑> 
 先ほどの24時間以内に受け入れることのできる傷病者、平日昼間で16,000人ということでありました。これに関して、足りるとか、足らないとかというのは、今は私もわかりません。ただ、今後もさらに整備促進していかなくてはならないということは、これ間違いのないことだと思いますので、しっかり今後も取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、災害派遣医療チーム、いわゆるDMATの設置についてお伺いをいたします。
 今2月定例会におきまして、我が党の赤井議員が一般質問でこの件を取り上げました。知事は先行している東京都と違って、本県は消防組織が市町村の組織となっているため、救出、救助部隊との連携や指揮命令系統をどうするか。また、2次災害が発生した場合の補償の問題など、設置に向けて課題があるというふうにおっしゃった。しかし、事人命の問題でありますので、災害発生時により即応的で効果的な医療チームが派遣できるように検討を開始したいという旨の答弁をされました。
 本県は、東海地震や神奈川県西部地震の切迫性が指摘されております。できる限り早急に検討を開始し、DMATのような即応的で効果的な医療チームの設置を進めるべきではないかと考えますが、設置に向けての検討の方法とそのスケジュールについてお伺いします。

<答弁> 立原災害時医療対策担当課長
 お答えいたします。
 先ほど申しましたとおり、本県には県内に30の拠点病院がございまして、その拠点病院と県、あるいは政令市5つの自治体で神奈川県災害医療拠点病院連絡協議会というのが立ち上がっております。この拠点病院と行政あるいは拠点病院の相互間の連携を図っているという会議でございまして、この協議会を活用させていただいて、この協議会に先ほどご指摘がございました、例えば消防機関だとか、あるいは防災局、こういったところの関係者に新たに参加していただきながら課題を整理した上で、より即応的で効果的な医療チームが派遣できるよう検討してまいりたいという、そういう体制をとりたいと思っております。
 それからスケジュールでございますが、やはり東海地震あるいは西部地震等、切迫性が指摘されているという神奈川県の状況を見まして、早急に組織する必要があるということについては十分に認識しているところでございます。そこで平成17年度中には何らかの方向性を出したいということで考えております。
 以上です。




<質疑> 
 このDMATについては、国としても全国で200チームの設置を目指しているようでございます。言うまでもなく、東京都以外の道府県は消防組織も本県と同様だと思うんですね。そのあたりの解決課題はあるにしても、今ご答弁いただいたように、その医療機関としっかりとすり合わせをしていくことで、何とか早く検討に入っていただきたいと思いますし、また、国としても、平成17年度から医師や看護師を対象とした災害医療の専門的な研修を行うというふうにしています。これはDMATの設置に伴ってということなのですけれども、せっかくの機会でありますから、本県としても医療チーム設置の検討と並行して、国が行うDMATの研修に県内医療機関の医師、また看護師等を参加させるなど、災害派遣医療チームの設置に向けて具体的な対応を行うべきであると考えるところですが、これについてはいかがですか。

<答弁> 立原災害時医療対策担当課長
 お答えいたします。
 今現在国が計画しています研修計画でございますのは、今後3年間で200チームを順番に研修していくということで、3年間で消化していくという、そういう計画になっております。この計画に沿いまして、医師、看護師等の具体的な参加方法につきましては調整してまいりたいというふうに思っております。
 以上です。




<質疑> 入札参加可能者数について伺います
 災害に強い県土づくりについてお伺いをいたします。
 本県は、全国的に見ても急傾斜地の多い県の一つに数えられています。県では危険な地区を急傾斜地崩壊危険区域に指定するとともに、順次、急傾斜地崩壊対策事業による整備を実施していると承知をしております。
 私もがけの多い地域に住んでおりますが、多くの危険箇所が県の事業で改善され、住民の皆さんから感謝をされております。一方で、いまだに今か、今かと整備を待ち望んでいる県民の皆さんも数多くいらっしゃる。これも事実でございます。そこでお伺いしたいんですが、急傾斜地の崩壊対策事業はどのような計画に基づいて整備が進められているのですか。

<答弁> 山下砂防海岸課長
 まず、急傾斜地の危険箇所でございますが、現在県内にはがけの高さが5メーター以上、保全すべき人家が5戸以上ある危険箇所が2,511カ所ございます。この中から危険度の高い箇所から順次、法による指定をしておりまして、平成15年度末時点で指定箇所が1,288カ所でございます。このうち1,151カ所につきまして既に整備に着手しておりまして、これ以外の箇所が未着手の指定箇所というふうなことになります。
 この中には開発計画があるなど、県として急傾斜地工事を行う対象にならないものが含まれておりまして、これらを除いた、すなわち県として対応すべき未着手の指定箇所、これらを早期に解消することを目標といたしまして、継続箇所に加えまして毎年30カ所程度の新たな事業展開を図っていくこととしております。
 以上でございます。




<質疑> 
 聞くところによりますと、国のお金が投入される公共事業については一定の進捗を見ているということでございますけれども、今ご答弁のありました、いわゆる国の公共事業の採択基準は下回るけれども、県として急傾斜地崩壊危険区域というふうに指定をしたというところ、そういうところについては、これ当然県の単独事業で対策が行われるわけですが、公共工事に比べると、非常に投資規模も小さいということで対策がなかなか進んでいないという現状にございます。
 これ県が急傾斜地崩壊危険区域に指定した、そういう区域である以上は県の単独事業で、予算的にも大変厳しいものがあるとは思いますが、しっかりとした計画を持って危険防止対策の事業を進めるべきであるというふうに思っています。これについてはいかがですか。

<答弁> 山下砂防海岸課長
 県の単独事業につきましては、公共事業で対策されないようながけ高の低いところ、人家戸数の少ないところで、特に危険ながけ地につきまして採択基準を広げて現在対策を進めております。
 指定箇所の事業の進め方でございますけれども、急傾斜地崩壊対策事業の危険箇所につきましては、少しの降雨でも危険な状況が大きく変化する場合もあること、それから事業の性格上、土地の所有者ですとか、あるいは地域の方々のご理解とか同意が不可欠であるというようなこと、こういったことがございまして、個々の具体的な対策箇所に関する中・長期的な目標をあらかじめ設定いたしまして、それに沿って整備を進めていくというようなことにつきましてなかなか難しい面が多々あるというふうに考えております。
 県といたしましても、こうした危険箇所の早期の解消に向けまして、緊急度などを勘案しながら順次整備を進めていきたいというふうに考えております。




<質疑>
 県単でやる場合なかなか進まないということで、当然住民の方は指定されれば、これは工事の対象になったのだというふうにお考えになるわけで、大体そのときに治水事務所の方から、指定はしましたけれども工事は7年先か、8年先ですねというようなことを言われるわけです。やはりこれ、心配だから何とか近隣の住民の皆さんの署名も集めて、これ何とか指定してくださいということでやっと指定されて、それから7年、8年、これだけ防災、防災ということが騒がれていながら、それが実態なのかなというふうに思っています。
 先ほど申し上げたように、予算の問題とかいろいろあると思うんですが、先ほどご答弁にあった毎年30カ所というのは、これ公共工事も含めてのことですか。

<答弁> 山下砂防海岸課長
 公共工事、県単事業を含めて、毎年30カ所事業程度の新規展開ということでございます。




<質疑>
 公共も含めて30カ所ということで今ご答弁ありましたけれども、これ県単がななかなか進んでいかないということで、県単の事業に関して具体的な目標というのはあるのでしょうか。

<答弁> 山下砂防海岸課長
 個々の危険箇所の状況、あるいは緊急度などに応じて、それぞれの現場レベルでは計画的に事業を執行しようというふうな努力をしておりますけれども、先ほど申し上げたような事業の性格上、あるいはさまざまな点によりまして、なかなか思いどおりに進んでないというのが実情でございます。




<質疑>
 これいろいろな障害はあるんですね。確かに所有権の問題だとかいろいろな問題が持ち上がってくる。だけれどもやはり人命ですから、県民の生命、財産ですから、何事にも優先をして、これ大体、県は本来これ持ち主がやってもらう仕事を県がかわりにやってやっているのだというそういうスタンスなんですよ。そうではなくて、これは県が介入していってでも県民の生命、財産を守るんだという姿勢で、もっともっと積極的にかかわってほしい、そういうふうに思うのです。人命に関してのことですので、それをどういうふうに考えているのかということを、まずそれをお聞きします。

<答弁> 山下砂防海岸課長
 委員ご指摘のとおり、貴重な人命を守る事業でございますので、我々としても重要性を認識しながら整備していきたいというふうに考えております。




<質疑>
 重要性を認識されているというのは本当にわかるんですね。だけれども、実際には進まない。
 これ先ほどは30カ所というのは公共、県単併せということだったんですが、県単に関して言うと、先ほどの計画はなかなか立てられないというか、いろいろなことがあって難しいというお話だったんですが、県単の事業いつまでにどれぐらいやっていくんだと、先ほど未着手のところもかなりあるというふうにご答弁いただいたんですが、その目標ですね。県として目標をどこに置いているのかという、それをまずお聞きをしたいと思うんですが。

<答弁> 山下砂防海岸課長
 急傾斜の危険区域の中には、当然がけの高さが高いところ、低いところございまして、県の単独事業で実施できる箇所、あるいは公共事業で実施できる箇所、それが混在しております。ですから、県単独事業だけを取り出して何年までにというふうなお話をするのは非常に困難であるというふうに考えております。




<質疑>
 時間も限りがあるのであれなんですけれども、要するに県単が残ってしまうわけですよね。公共は進むんです。県単が残ってしまうのです。そこをどうするのか、どう進めていくのかということがやはり大事だと思うのです。
 私、どんな事業でも、具体的な目標と計画のない事業というのはないと思っているのですね。確かにがけというのはいろいろな要因が絡みついている。先ほどのご答弁にあることも、私は一定理解をしているつもりです。ただ、具体的な目標と計画というのがしっかり立てられて、事これ県民の生命、財産にかかわる問題ですから、それはお取り組みいただかなければいけないのではないかなというふうに思うのですが、いかがですか。

<答弁> 山下砂防海岸課長
 委員のご指摘を踏まえて、今後より計画的な事業の執行に努めていきたいというふうに考えております。




<質疑>
 まず、目標と計画。やはり我々もそうですけれども、県民にわかりやすい目標と計画、いろいろな条件がつくと思うんですよ。もうそういうことも含めて、具体的な目標と計画をしっかり立てて、大事な事業なので臨んでいただきたいというふうに要望をいたします。
 次に、児童・生徒の安全対策についてお伺いいたします。
 大阪府では大阪教育大学附属池田小学校、そして寝屋川市の小学校と痛ましい事件が続きました。また、本県初め、全国で学校への不審者の侵入などが後を絶たない状況にあります。一歩間違えば、児童・生徒の安全に大きな影響を及ぼす自体になりかねず、早急な対応が必要であろうというふうに考えています。
 県は、県民の皆さんに対して自主防犯活動の必要性を訴えています。県の作成した防犯パトロールの手引きを見ますと、その中でも自治会やPTAなど、有志の皆さんで防犯パトロールを立ち上げて、登下校の時間帯に学校周辺を重点的にパトロールすることなどが重要だというふうに言っています。
 そこで自治会やPTAなどが自主的なパトロールを行うに当たり、そこに、先ほどもお話に出ていましたが、くらし安全指導員の方々を活用できないかと考えるところであります。来年度は50人から100人にふえるということでありまして、またこれ200人を目指すというふうにも聞いていますので、せっかくの人材ですから、例えば市町村単位でも、また幾つかの学校単位でもいいと思います。くらし安全指導員がパトロールの指導、また支援を行うということは十分可能だと思いますが、今後、県と市町村の連携を一層強化するという点でも意義のあることというふうに考えますが、県はそのような取り組みを図るつもりがあるかどうかお答えをいただきたい。

<答弁> 服部安全・安心まちづくり推進課長
 お答えいたします。
 くらし安全指導員についてでございますが、児童・生徒、あるいは教職員の方や保護者の方々を対象といたしまして、防犯教室を開催させていただいておりまして、その中で学校への不審者侵入対策でありますとか、児童の連れ去り防止、こういったことに対する具体的な事例や対策などをわかりやすくお話しさせていただいておりまして、また地域の皆さんの意識啓発や活動支援に取り組んでいるところであります。
 平成17年度は、ただいまお話ございましたとおり人員を倍増させていただきまして、100名体制に充実強化するとともに、新たに再編されます6カ所の地域県政総合センターにも配置いたしまして、より地域に密着した取り組みを進めることとしておりまして、今後は市町村や警察署が中心となって設置が予定されております地域ごとの推進協議会、こういった場を活用いたしまして、今まで以上に市町村との連携を強化したいと。
 そういった中で、防犯パトロールなどの自主防犯活動を行う際のいろいろなさまざまな注意点でございますとか、あるいは子供の安全確保に地域で取り組んでいらっしゃるいろいろな事例、こういったものの紹介をくらし安全指導員がさせていただくと、こういったことを通じまして、市町村や学校、またPTAの方々、こういった地域の皆さんと一緒になって、児童・生徒の安全確保に向けた取り組みをより一層進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。




<質疑>
 大体、くらし安全指導員の方のお仕事というと、講義とか実演とかそういったことなのですが、こういう防犯パトロールなどの県民の実際の現場に入ってやっていただくのもいいのかなというふうに思って、この質問をさせていただきました。ぜひそういう取り組みを考えていただきたいというふうに要望いたします。
 次の質問に移ります。
 本来、安全でなければならない学校が、最近非常に危険な状態となっています。先ほど申し上げましたが、本県でも最近、横浜市の大豆戸小学校に男が侵入するというような事件もありました。本県では、小学校への不審者侵入防止対策としてどのような対応を行っているのか伺いたい。

<答弁> 佐々木教育庁保健体育課長
 お答えいたします。
 県教育委員会では、平成13年6月に発生しました大阪の池田小学校での事件を受けまして、同年9月に学校の安全管理マニュアル作成のための指針、これを作成しまして、全公立学校に配付をいたしました。各学校ではこの指針に基づきまして、それぞれの学校の実情に即したマニュアルを作成し、日ごろの防犯対策や緊急事態発生時の教職員の体制整備などにそれを決めまして、対応をしております。
 具体的には、学校の安全管理については、不審者を校内に侵入させないことが基本となりますので、フェンス等の点検整備、また出入り口の限定と施錠、校内巡視、来校者の確認などを対策として行っているほか、不審者が侵入した場合を想定した防犯訓練を行っております。




<質疑>
 出入り口を限定するとか、しっかり施錠するとかということももちろん大事だと思いますが、私たちテレビで、北京の日本人学校にいわゆる脱北者の方がフェンスを乗り越えて入っていくと、そんな様子を見ますと、脱北者ですから、私としては当然同情を禁じ得ないのですが、見方を変えれば、あれくらいの塀はもう簡単に乗り越えられるということで、やはりマンパワーによる警備の目にまさるものはないというふうに思います。
 国でも平成17年度の新規事業として、防犯の専門家でありますとか、また警察のOBなどを地域学校安全指導員、これスクールガード・リーダーというふうに呼ぶらしいんですが、そういう方として嘱託をして、報酬も伴うわけですね。嘱託をして、彼らが学校安全ボランティアを、これスクールガードというらしいんですが、そのスクールガードを育成すると、そういう学校での安全体制を推進する事業を開始するというふうにしています。
 文部科学省としては、その中で都道府県の役割も定めているようですけれども、本県としてはどのように取り組んでいかれるのか、考えを伺いたい。

<答弁> 佐々木教育庁保健体育課長
 学校の安全管理については、教職員の体制整備を中心に、それぞれの学校や地域の実情に応じて取り組んでいるところでございますが、学校だけでの取り組みには限界があることから、保護者や地域の方々と連携してご協力いただきながら学校の安全確保を進めていくことが必要であると思っています。
 そういった点から、ボランティアの方々や警察官OBなどマンパワーを活用し、地域全体で子供たちを見守っていただくこの事業は、学校の安全体制を推進するための有効なものとなると確信しております。そういった意味では、こういったスクールガード・リーダーの事業を入れていきたいというふうに思っております。
 そういった中では、この事業につきましては、小学校を主な対象として想定しておりますので、本県がこの委嘱事業を行う場合には、事業を行う事務局として事業実施地域の選定や、事業の調整、市町村教育委員会や学校に対する指導、助言などに主体的に取り組みたいというふうに思っております。
 また、この事業では、スクールガードの方々に警備上の留意点や不審者を発見した場合の対応、最新の警備情報などを紹介する研修会を行うことも含まれておりますので、この研修会については、県が中心となって進めたいというふうに考えております。




<質疑>
 今回のこれは国のモデル事業というふうに伺っています。モデル事業というのは、もちろん効果をきっちりと測定をしてくということと、なるべく多くの人、多くの関係者に見てもらうというか参考にしてもらうという、そういう意味も含まれているのだと思います。県として、これからモデル地域を決めると思うのですが、ぜひそれ以外の地域の方々も、今後の活動に生かしてもらえるように活発な交流を促す取り組みをしていただきたいというふうに考えていますが、その点はいかがでしょうか。

<答弁> 佐々木教育庁保健体育課長
 まずは、特定の地域で事業実施上の課題を検証しながら、モデル事業としてスタートすることとなりますが、委員ご指摘のとおり、事業を行う地域だけでなく、他の地域への波及を図っていく必要があるというふうに考えております。
 具体的には、実際のスクールガード・リーダーやスクールガードの方々の活動を多くの方々に見学していただき、それぞれの地域にそのノウハウを持ち帰っていただくこと、そういった機会をつくっていきたいというふうに考えております。




<質疑>
 できるだけ多くの人たちが参考になるような取り組みをしていただきたい思います。
 私の2点目の質問は、住宅施策についてでございます。
 高齢者の住まいの問題は、非常に今日的な、また大きな課題であります。ひとり暮らし、ふたり暮らし、そういう不安もありますし、また、核家族化が進む中で、さまざまな事情で県営住宅などの公営住宅に頼らざるを得ないという方も多くなっております。さらには、公営住宅の建物自体の老朽化と、入居者の高齢化が同時に進行しているという問題もあります。そこで、住宅施策について何点かお伺いします。
 初めに、住宅施策と福祉施策の連携についてお伺いします。
 今、シルバーハウジングですとか、高齢者向け優良賃貸住宅に居住している高齢者を対象に、ライフサポートアドバイザーというのが配置されているというふうに伺っています。これ生活の援助をする役割があるんですが、非常に住宅施策と福祉施策の連携が図られた取り組みとして、有意義なものだというふうに思っています。これライフサポートアドバイザーの配置というのは、事業主体は市町村になるようですが、国が2分の1、県と市町村が4分の1ずつというふうに財源を担うと聞いておりますので、本県での取り組み状況について、まずはお伺いします。

<答弁> 小野田高齢者保健福祉課長
 いわゆるライフサポートアドバイザー事業につきましては、公営住宅のシルバーハウジング等が前提になるものでございますけれども、政令市、中核市を除きます福祉部内でいう県所管域の中では7市が、また、なお政令市、中核市を含めまして県全体では10市が取り組んでおります。




<質疑>
 県営住宅の中には、著しく高齢化が進んでいるところがあります。もちろんご高齢の入居者の皆さんは、それぞれの団地のある市町村の住民ですから、その市町村の福祉施策に頼ることになると思いますが、とにかく県営住宅、特に古い県営住宅には高齢者が集中しているわけです。そういうところに、ライフサポートアドバイザーなどの配置や派遣があればというふうに私も常々思っております。
 今後とも、県の住宅部門と市町村の福祉施策部門の連携を一層活発に行う必要があるのではないかというふうに考えていまして、ライフサポートアドバイザーの配置や派遣は、これは市町村が動かなければ何ともならないというふうにも伺っていますが、県としては市町村に対する働きかけとともに、支援を積極的に促進すべきであるというふうに考えますが、いかがですか。

<答弁> 小野田高齢者保健福祉課長
 今委員のご指摘のとおり、住宅施策と福祉施策の連携という意味では、非常に大事な点だというふうに考えています。
 そういうような点から、この事業につきましては、平成13年度からいろいろと議論をさせていただきまして、高齢者居住支援制度実施要領という、いわゆる標準モデルという格好でつくりまして、市町村にいろいろと推進を図っているところでございます。今後もこのような形でもって進めていきたいというふうに考えております。




<質疑>
 次に、先ほど居住者の高齢化と建物自体の老朽化が同時進行しているというふうに申し上げました。居住されている高齢者の生活実態に合わせて、住宅内の段差の解消ですとか、手すりの設置、また浴室やトイレの改善、さらには後づけエレベーターの設置とか、バリアフリー化を伴う個別改善を計画的に実施をしていかなければならないというふうに考えています。
 そこで県営住宅における個別改善、これ何を基準に実施をしているのかお伺いします。

<答弁> 港県土整備部参事
 個別改善につきましては、委員ご指摘のとおり、必要な改善メニューを適宜選択しながら、入居者の方の整備改善を進めるものでございますが、この基準でございますけれども、基本的には昭和38年から昭和49年までに建設された住宅の中で、公営住宅ストック総合活用計画の中で全面的改善に位置づけた住宅につきまして、トータルリモデル事業によります整備のほか、住宅の建設年度や高齢者の入居の実態などをもとにいたしまして、地域的な均衡等、総合的に勘案いたしまして、個別改善を実施する団地を決定いたしております。
 現在、ストック総合改善計画の見直しの中で、高齢化の進展の状況や住戸の老朽化の状況などを踏まえまして、早期により多くの住宅の改善が図れるように、全面的改善を対象とした団地につきまして、主として高齢者対応や安全性の確保のための改善項目に絞り込みまして、入居者が居住したまま工事ができる個別改善も積極的に取り入れる方向で検討を進めておるところでございます。
 以上でございます。




<質疑>
 総合活用計画の中に、個別改善とあとトータルリモデル全面的改善がありますが、これことしといいますか平成17年度、計画を見直す時期になっています。この平成17年度当初予算までの事業の進捗状況を踏まえて、平成18年度からの見直し計画においてこのトータルリモデル事業、また個別改善等の進め方と整備の規模をどのように位置づけていくのか、現時点での考え方を簡潔にご説明ください。

<答弁> 港県土整備部参事
 ストック総合活用計画につきましては、ただいまご指摘のように、平成18年度からの見直し計画に向けまして検討を進めてございます。
 現在2つの基本的な考え方によりまして、見直しを図ることといたしております。
 1番目は、公営住宅を含めた公的賃貸住宅供給における施策の重点が、従来の量的拡大から既存ストックの有効活用に移りつつあるという点でございます。
 第2点目は、住宅困窮者に対しますセーフティネットとしての機能強化や、先ほど来ご指摘の福祉との連携強化など、地域政策についての性格が強まってきている中で、今後ますます市町村の役割が重要になってくるという点でございます。
 こうした考え方のもとに、効率的かつ効果的な整備を図るために、改めて団地ごとの整備区分と整備手法の見直しを行うとともに、さらなる公平性の確保に向けた入居制度の見直しを図ってまいりたいと考えております。具体的には、整備手法の見直しについてでございますけれども、建てかえにつきましては非現地建てかえや、集約化など、効率的な建てかえ手法の導入、入居者の実態を踏まえた適切な建てかえ規模、戸数の見直しを検討してまいります。
 また、改善事業につきましては、高齢者対応や安全性の確保を早期に図るため、住戸ごとに柔軟な対応が可能となります個別改善へのシフト等の見直しを検討しております。




<質疑>
 約45,000戸ある県営住宅の公営住宅ストック総合活用計画、これ極めて重要な施策であります。見直しにしっかり取り組んでいただいて、今ご答弁ありましたけれども、ごく一部の人が恩恵によくするトータルリモデル、これも本当にすばらしい事業だと思います。ただ、限られた財源の中で、やはりより多くの入居者が利益を受ける個別改善を、私も今後充実させていかなくてはならないのではないかと思います。言ってみれば、広く浅く施策を講じていくという必要があると思います。
 またもう一つは、大変に高齢化が一部の団地で進んでいる。そういう中に、しっかり若い人が入居しやすいような状況をつくっていくということも必要だと思うんですね。なかなかお年寄りばかりで、自治会活動もうまく進まないというようなところもあります。ソーシャルミックスというんでしょうか。例えば5年なら5年、7年なら7年、期限を決めてもいいと思うんですね。その時期にしっかりと若い人にその団地で暮らしてもらって、子育てもしてもらって、自治会活動も頑張ってもらう、そんなような施策も今後は必要ではないかと思っています。
 公営住宅ストック総合活用計画の見直しに向けて、ぜひ副知事のご決意をお伺いしたいというふうに思います。

<答弁> 尾高副知事
 ご案内のとおり、現在、社会や経済情勢の変化が大変急激になっておりまして、住宅の受給環境、さらには住宅に対する公的な役割なども大きく変化をしておるところでございます。
 今回のストック総合活用計画の見直しにおきましては、こうした状況を踏まえまして、まず既存のストック活用をどうするか、さらには市町村の役割がどういう形で重要性を増してきておるのかというようなことも含めまして、今後県の果たすべき役割を的確に位置づけることがまず何より大事だと思っております。
 厳しい財政事情の一方で、整備を要望される声の多いことも私も承知してございますので、こうした基本的な考え方を堅持しまして、ただいま小野寺委員のお話のとおり、広く浅くというような観点も参考にしながら、効果的、効率的な事業実施の計画を立ててまいりたいと考えております。