■防災警察常任委員会(平成17年3月1日)
<質疑一覧>
 火災警報器の設置義務化について


<質疑>
 私からは、まず最初に、消防法の改正に伴う住宅用火災警報器の設置義務化についてお伺いをいたします。
 今、住宅がどんどん燃えにくい構造になっている。また喫煙人口が減って、恐らく寝たばこをする人も減っているだろう。また暖房器具の安全性もどんどん向上している。にもかかわらず、住宅火災による死者が急増しているという実態があると。取り分け高齢者の死者が増加しているということを重く見て、国は消防法を改正して一般の住宅にも火災警報器の設置を義務付けることになったというふうに聞いておりますが、これに関連して何点かお伺いしたいと思います。
 まず、住宅火災の現状についてお伺いをいたします。神奈川県の火災発生件数と火災による死者の推移というのはどうなっているのか、まずお伺いします。

<答弁> 防災消防課長
 市町村の火災報告をもとに、国が取りまとめました火災年報の数値でお答えさせていただきたいと思いますけれども、まず、本県の住宅火災の件数の推移でございますけれども、平成11年は830件、12年は869件、13年度879件、14年は900件、15年は1,066件、年々増加傾向にありまして、平成15年と平成11年を比較しますと、件数では236件、率で28.4%増加しているという状況にございます。
 また、火災による死者の推移でございますけれども、平成11年は49人、12年は42人、13年は50人、14年は46人、15年は66人と増加しております。これを15年と11年で比較してみますと、人数で17人、率で34.7%増加という状況にあります。
 なお、このうちから65歳以上の高齢者の方の状況でございますが、全体の半数以上を占めるということで、年々増加傾向にあるというふうな状況でございます。




<質疑>
 今数を伺いまして、また65歳以上の方が半数を占めるというお話でしたけれども、そのお亡くなりになった原因というのはどういうことなのか、分析の結果があれば教えてください。

<答弁> 防災消防課長
 平成15年中の状況で申し上げますと、県内の住宅火災による死者66人、これは放火、自殺者等を除いた数字でございますけれども、そのうち65歳以上の高齢者の方は28人、42.4%ということになっておりまして、全国では死者1,041人のうち高齢者は589人、56.6%、全国の方が14.2ポイント高くなっておりますけれども、いずれも過半数を超えています。死に至った原因ですけれども、県内の状況でございますが、死者66人のうち逃げおくれが45人で68.2%という状況で最も多く、そのほかには体力的条件が悪く、ほとんど避難できなかったと思われる着衣着火が4人、6.1%となっておりまして、続いて一度避難した後に家族を助けるために再び戻る、出火後再進入としておりますけれども、これが2人、3.1%となっております。また原因別の高齢者の割合を、サンプル数の多い全国の統計で見ますと、着衣着火の15.7%、それから逃げおくれが57.8%が高齢者であるという状況になっております。




<質疑>
 その死者を少しでも減らそうということで、全国一律に火災警報器の設置を義務付ける法改正があった。これは平成16年6月2日公布というふうに伺っているわけですが、その概要についてお伺いをしたいと思います。

<答弁> 防災消防課長
 従来、個人の自助努力を中心に考えられてきました一般住宅の防火対策でございますけれども、国では住宅火災による死者数は、建物火災の約9割を占める。住宅火災の7割が逃げおくれによることを踏まえて、初期に火災を感知して警報により周辺に知らせ、避難強化を促して死者数の低減を図るということで消防法が昨年6月に改正されて、一般住宅にも住宅用の防災機器として住宅用火災警報器、これの設置が義務付けられたということでございます。これによりまして戸建住宅とそれから延べ面積が500m2未満の共同住宅等の関係者はこの法令に基づきまして、こういう火災警報器等を設置しなければならないというふうになったわけでございます。
 対象機器の種類とか規格につきましては、消防法施行令等で基準が定められておりますので、今後消防業務を行っております市町村において、それぞれ条例に規定を盛り込むということになっております。新築住宅への設置、それから維持の義務については、平成18年6月1日から適用されるということでございます。以上が概要です。




<質疑>
 その住宅用火災警報器ですが、いろいろ基準もあると思うんですが、どんな機器なのか、またどういうところに付けることを義務付けられているのかということも教えていただけますか。

<答弁> 防災消防課長
 消防法施行令等で定める基準に適合した警報器等を設置するということになるわけでございますけれども、簡単に申しますと、煙を感知して警報を鳴らすタイプのものとか、イオン電流の変化により作動するイオン感知器、そういったもの等がございます。電源についても電池式のものとかコンセントに差し込むといったものが基準の中に盛り込まれております。
 警報器を設置する場所でございますけれども、基本的には寝室、階段、廊下の天井や壁面の高い位置に設置するとこととされておりまして、住宅の間取りや階段の状況等によってはいろいろ異なるところもありますけれども、基本的に各寝室と階段の最上階には必ず設置すると、そういったことになっております。




<質疑>
 先ほど新築住宅は平成18年6月1日から義務付けということになっていますが、東京都は既に前倒しというふうに伺いましたが、昨年10月1日から火災予防条例を改正して、前倒しで義務付けをしているということになって、その中の概要をちょっと見てみますと、住宅内の各居室、台所より階段に設置というようになっているんですが、これはそれぞれの自治体で各居室とはいってもこれは寝室だけでいいんだよとかいう判断ができるということなんでしょうか。

<答弁> 防災消防課長
 台所等につきましては、今お話があったように、それぞれの自治体が勘案して条例の中に盛り込むことができるようになっていると聞いております。




<質疑>
 どこが寝室でどこが居室かというのは、1軒の中でも難しいかもしれないんですが、やはり各寝室というといろいろ解釈に差が出てくるだろうと思うんですが、そのあたりはどうなんでしょうか。

<答弁> 防災消防課長
 寝室と申しましてお答えしたんですが、寝室の用に供する居室という表現になっています。




<質疑>
 要するに寝室に使う居室という解釈でいいということですね。
 それで設置及び維持基準については、政省令で定める基準に従い、市町村条例で定められますというふうになっているんですけれども、この中で県の果たすべき役割というのはどんなことがありますか。

<答弁> 防災消防課長
 基本的には各市町村が条例で定めて現実に適用していくわけでございますけれども、御案内のとおり、市町村の方でいろいろ判断する余地が現実にございます。例えば既存住宅の取扱いについても、各市町村が具体に定めるということになっておりまして、そういった適用時期とかまちまちになる可能性もございます。そういった意味で県内全体として、市民の方がある意味では混乱することのないように、統一的な取扱いも場面によってはするかもしれません。そういった意味で県といたしましては、県内の各市町村の方で条例を定める、あるいは施行していく段階で、県内全体の総括的な立場でいろいろな調整を進めていく。それが県の役割であるというふうに認識しております。




<質疑>
 今既存の住宅というお話が出てきたんですけれども、さっきは新築住宅に関しては、国で平成18年6月1日から義務付けますよということでした。既存の住宅に関しては、これもやはり火災警報器の義務付けというのは行われるということですか。

<答弁> 防災消防課長
 そのとおりでございます。既存住宅についても設置義務が課されるということになります。




<質疑>
 それについては、例えば国からの期限の設定というのはされているんでしょうか。

<答弁> 防災消防課長
 既存住宅については、各市町村が適用時期を条例で定めるというふうになっておりまして、新築住宅が18年6月から施行、それを基準にしまして、それ以降2年以内に施行ができるように、あるいは遅くとも5年以内に施行する、そういった形で国の方では定めております。




<質疑>
 ということは、各市町村によって、既存住宅に関しては2年以内もしくは5年以内と大雑把な期限が一応決められているから、それに基づいて市町村で条例をつくって、既存住宅に対しては決めていくということだと解釈したんですが、当然県内で市町村によって施行時期がまちまちというのも非常に混乱を招く原因になると思うんですが、これも市町村の各それぞれの事情を県で聴取した上でないと県としては、決められないことかもしれないですね。話はちょっと飛びますが、これは大変に効果のあることらしいですね。国の資料を見ると、例えばアメリカの事例で見ますと、21年前、火災警報器を設置義務化して、普及促進をして、この21年間で死者数が5割減っている。イギリスの場合は13年間、やはり設置義務化し普及促進して、死者数が4割減っている。すごく効果のあるもののようです。ということは当然県としても、これは少しでも早くという気持ちはおありだと思うんですが、先ほど2年以内、5年以内というめどが国から出されているという話がありましたが、県としてはいつごろをめどに市町村の意見を聴取しながら、各市町村において既存住宅への火災警報器の設置を実施したいと考えているのか、その辺をお聞きいたします。

<答弁> 防災消防課長
 既存住宅への適用の時期でございますが、これにつきましては、先ほどお答え申したとおり、条例で定めるということですが、各市町村によって普及啓発でありますとか、いろいろ周知等の期間等も踏まえて、5年あるいは2年と書いていろいろな意見が具体に出されております。実は昨年の12月に各消防本部の予防担当者に集まっていただきまして、こういった条例制定にどういうふうに取り組んでいこうかということで調整会議を開催いたしまして、その辺についてもいろいろ意見を聞いたところでございます。その中で各市町村でもいろいろな取組をこれから進めていくに当たっても、やはり時間が必要だということで、早い方が望ましいわけですけれども、当面は大体5年以内ということでございますが、それより早めになるかもしれませんが、少しその辺も含めて、いろいろ今後詰めていこうということに、今の段階ではなってございます。




<要望>
 今、イギリスやアメリカの事例というのが資料にあったので申し上げたんですが、この住宅用の火災警報器の設置義務化ということは、住宅火災で犠牲になる方の減少に本当に直接つながっていくというふうに大きな期待をするわけですけれども、実際に義務付けがされるのはしばらく先になってしまうのかなという感じもします。例えば新築住宅の場合、先ほど申し上げたように、東京都では前倒しをして平成16年10月1日から条例改正して施行していると。確かに東京都の場合は消防庁があって、都内の自治体の消防を束ねられるということがあるからできるんだというお話を常日ごろから聞いているわけですけれども、神奈川県でも是非市町村の消防と積極的に連携を図っていただいて、その必要性をまず住民の方にもわかっていただかないと、多分お金もかかるものだと思うので、まずそこは啓発というのが一番大事になってくると思うんです。それを県としても指導的な立場で市町村と連携をして、しっかりと進めていただいて、できるだけ新築住宅についても、既存住宅についても、少しでも早く設置ができるように御努力をいただきたいということを要望いたしまして、この件についての質問を終わらせていただきます。