公明党県議団は、6月定例会の代表質問および厚生常任委員会において、在宅重度障がい者等に対する手当を縮減しようとするのであれば、現金給付に代わる施策の実現を担保することが不可欠であると訴えました。
県はこの制度ができて40年が経過し、地域における障がい者支援の仕組みが整ってきたという理由から、支給対象者と総支給額を大幅に減らす条例改正を提案。約13万人に総額約44億円(07年度実績)が支給されていた手当ですが、改正後は重い障がいを重複して持つ方等に支給対象を限定するため、対象者は約8千人、支給総額は約4億8千万円に激減する見込みです(県による試算)。
見直しで生じた財源について、県は地域生活支援策に活用するとしており、具体的には
(1)障がい者グループホーム・ケアホームの設置促進
(2)障がい者の医療環境の充実
(3)障がい者の移動支援の充実
などに取り組むとしています。
本件については、これまでも支給が打ち切られる障がい者や、その家族の理解が得られるか等の議論がありました。同様の手当をめぐっては、横浜市が2月に全廃を決定。川崎市も学識者らで構成する専門部会で制度の在り方を検討するなど、見直しの動きが進んでいるところです。
議案が提出された2月定例会では、当初、付帯意見を添えて可決される見通しでしたが、「経済危機の中、障がい者の生活を考える上で、手当削減で生み出される財源をどう使うかは大変重要。議論を深めることが大切」との我が会派の声が重んじられ、全会一致で継続審査となっていました。
6月定例会では、地域生活支援のための推進プログラム等も示されましたが、事業の実施年度や予算等に不確定な部分が多かったため、公明党の厚生常任委員が修正案を提案しました。
我が会派の修正案は、2月定例会で県が示した平成22年度1年間の激変緩和期間を23年度まで延長し、約12万人が支給打ち切りになる時期をさらに1年遅らせるというもの。その理由として、「(削減で生まれる財源で代替的に県が行う)さまざまな施策をより明確にするための時間を確保することにより、少しでも障がい者の不安を軽減できるのではと、1年の延長を図った」と説明。
自民党、民主党・かながわクラブ、公明党、県政会、大志・未来の5会派は、「改正が障害者福祉の後退につながることなく障害者の地域生活の向上に資するよう、(代替的)施策の速やかな具体化に向け特段の努力を払うこと」との意見を付け、修正案および修正部分を除く原案に賛成し、条例の改正がなされました。