2020年のメッセージ
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 <民主主義とデジタル革命>     (令和2年11月26日)
 県は11月1日付で神奈川版デジタル庁ともいえる「デジタル戦略本部室」を設置しました。
 私が6月17日の県議会代表質問で行政のDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術による社会の変革)推進を訴えて以降、CIO(情報統括責任者)兼CDO(データ統括責任者)にLINE(株)執行役員の江口清貴氏を迎えるなどの推進体制が整えられてきましたが、今回は70人規模の組織編制となりました。

県民と行政をつなぐ
 新組織で陣頭指揮を執る江口氏は神奈川新聞のインタビューで「はんこをなくしたりファクスをなくすことが目的ではない。その先に人々が簡単に行政とアクセスできる関係をつくっていくことが大切。デジタルに合わせて業務そのものを変えてしまうのが本当のDXだ」と述べています。
 今月に入り本県でも新型コロナウイルスの感染者が急増。今後、政府や県から「第三波」対策が繰り出されることが確実な中、まずは行政手続きのオンライン化など、事務作業の省力化や効率化を通じて利便性や生産性を向上させることが急務です。

シビックテックの力
 さらに江口氏の言う「本当のDX」を成し遂げるためには、行政がAI(人工知能)など民間企業のテクノロジーを活用して行政サービスを改革するガブテック(Govtech)とともに、行政や地域の問題を政府や自治体任せにせず、県民(市民)自らがITで課題を解決したり、便利な行政サービスを実現したりするシビックテック(Civictech)の普及が重要です。
 3月上旬に開設された東京都の新型コロナウイルス感染症サイトは、発案から1週間で開設というスピード感や使い勝手の良いインターフェースもさることながら、サイトをオープンソースのプラットフォーム(GitHub)上に公開し、その後も市民エンジニアがシステム改善に参加するシビックテックの手法を採用したことから、デジタル革命の好事例として評価されました。
 シビックテックは「デジタル時代における民主主義のインフラ」ともいうべき行政情報のオープンデータの上に成り立つ民主的なテクノロジー。ゆえに、DXには不可欠と考えるのです。
 
 <混乱をチャンスに変える>     (令和2年9月24日)
 新型コロナの感染拡大でお粗末ぶりが露呈した行政のデジタル化。そこで政府は「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資を「デジタルニューディール」と名付け、10年かかる改革を一気に進めると意気込んでおり、新総理の下で「デジタル庁」も発足する予定です。
 6月17日の県議会代表質問で私は、部局や自治体ごとに縦割りになっているデジタル環境の壁を取り払い、切れ目なく繋がることでイノベーションを起こすDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術による社会の変革)の推進を知事に質し、同意を得たところです。

デジタル相に期待
 また、本県のデジタル戦略遂行のため実戦に長けたCIO(情報統括責任者)とCDO(データ統括責任者)を検討するよう要望していましたが、両者を兼務する形でLINE(株)執行役員の江口清貴氏が就任しました。
 そして、9月17日未明に行われた平井卓也デジタル改革担当大臣の就任会見。DXに向けた課題認識などにわが意を強くしました。
 早速、開催中の県議会定例会に公明党が中心となり、地方行政のデジタル化推進において国がその役割を十分に果たすことを求める「地方自治体のデジタル化の着実な推進を求める意見書」を提案します。

近くにある楽園へ
 さて、「Go To トラベル」は東京発着の除外や感染拡大への警戒から混乱含みのスタートとなりましたが、私たちが旅のスタイルを見直す契機となりました。団体旅行から小グループでの旅へ。連休集中型から休暇分散型へ。そして、遠くへ1回行くよりも近距離圏へ何度でも。
 このように3密を避けて短距離移動で旅するマイクロツーリズムを神奈川県内で楽しむ旅行商品『地元かながわ再発見』が、県民を対象に10月8日から販売されます。
 横浜、鎌倉、箱根への旅行は1人1泊あたり最大5,000円、日帰りは最大3,000円を補助。それ以外の県内地域への旅行は1人1泊あたり最大7,500円、日帰りは最大5,000円の補助となり、Go Toトラベルとも併用できます。
 
 <「防災の日」に寄せて 〜求められる感染症への対応〜>     (令和2年8月27日)
 今年度末で終了する国の「防災・減災、国土強靭化に関する3カ年緊急対策」。その予算を活用し、神奈川県や横浜市でも河川や道路、橋梁の補修などさまざまな災害対策事業を推進してきましたが、この夏の豪雨災害をみれば、対策のさらなる強化が必要なことは明白です。
 しかし、来年度予算の方向性を定める「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)の政府原案に「3カ年緊急対策」の延長に関する文言はありませんでした。
 「防災・減災に対する政府の認識は甘い!」
 公明党の「苦言」を受け、7月17日の閣議決定では、緊急対策終了後も必要十分な予算を確保し、対策を進めていくと改められました。

コロナ禍における避難のあり方とは
 また、政府には近年の災害対応と新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた防災対策に関する提言も行いました。その一つが「3密」回避へホテルや旅館などを活用し避難先を分ける「分散避難」の定着です。神奈川県としても市町村の要請に応じた県立施設の利用調整や、避難所としての利用に前向きな宿泊施設リストの提供などを進めていきますが、自治体ごとの体制構築や可能な限り多く避難所を開設するためには国の支援が欠かせません。それは、感染防止のための間仕切りシステムやマスク、消毒液の備蓄についても同様です。

生活再建の厳しい現実を知っておく
 私は知的、精神、身体に重い障がいのある方々の避難に関する政策研究に取組んでいますが、高齢者を含め自力での避難が難しい人の個別支援計画の策定を法定化するなど災害対策基本法の改定も提言で触れています。
 最後に「自助」について一言。県内の住宅の耐震化率は9割を超えていますが、大地震では家が倒壊しなくても家具などが倒れたり”飛んで”きたりして死傷するケースが少なくありません。
 ちなみに家屋が倒壊した場合、住宅再建経費が2000万円以上、生活に不可欠な家財の買い替え費用も4人家族で1600万円以上というデータがあります。

 9月1日は防災の日。家具の配置や固定方法を再確認するとともに、自然災害共済や地震保険の加入や見直しなど、災害への備えについて、ご家族で話し合う機会にされたらいかがでしょうか。
 
 <新たな日常をデジタルで創る>     (令和2年7月30日)
  元通りの世界に戻ることは難しくても、私たちにはコロナ前より良い社会を築くことができる。

 私が6月17日の県議会本会議で行った代表質問では、この「ビルド・バック・ベター」の理念を現実のものとするために何をどのように変えるべきかということに主眼を置きました。
 最も変革が求められているのが行政のデジタル化です。今回の新型コロナ対策では、様々な給付金や助成金が、申請手続きが複雑な上に、役所の事務処理の混乱で支給が遅れ、行政のデジタル環境の不備が露呈しました。行政手続きのオンライン化は急務です。

DXが変える世界
 私が特に求めたのは、多様なデータと最先端のデジタル技術を活用して人々の生活様式を根底から変革するデジタルトランスフォーメーション(略称DX)の推進です。コロナ禍の中にあって民間企業ではDXの取り組みに生き残りをかけています。神奈川県でも今後、新たな事業モデルや県民サービスを生み出したり、生産性の向上やコスト削減、職員の働き方改革を実現したりするためには、DXが不可欠です。
 現在、その推進に当たるCIO(情報統括責任者)とCDO(データ統括責任者)に、2人の副知事を充てていますが、より実戦的な人選を検討するよう討論の場で要望しました。

貧困の拡大を防ぐ
 また、新型コロナの影響で生活に困窮する県民が急増する中、私は、貧困の拡大をくい止め、県民のいのちと暮らしを守るために、全庁横断的なセーフティネットを構築するよう求めました。
 黒岩知事は「県民生活支援庁内連絡会議」(仮称)を設置し、福祉、医療、雇用、住まいなどの関係部局の連携を図ると答弁。複数の分野をスムーズに連携させるためには、部門ごとに構築してきたシステムの壁を取り払い、データの共有・活用が必要ですが、これもDXの実現につながる重要な要素です。

 そしてテレワーク。リアルワークと同等か、それ以上に仕事を回せないテレワークは、自宅待機とさして変わりはなく、働く人の負担が増すだけでメリットも感じられないため持続しません。デジタルの強みを生かし、新たな価値が創造される働き方もまた、DXとともに実現するのです。
 
 <いのちを守る。くらしを支える。>     (4月)
 神奈川県議会は4月24日、新型コロナウイルス感染症対策として538億円の補正予算を可決。仮設病棟の建設や軽症・無症状患者の療養施設の借上げ、休業要請に応じた事業者への協力金や資金繰りを支援するための利子補給など、内容は多岐にわたります。
 個人や世帯、事業主向けの国や自治体の支援も多種多様です。必要としている方々に支援が確実に届くよう政府広報等の充実が不可欠です。
 
 <新型コロナ対策に補正予算>     (3月)
 新型コロナウイルス感染症への緊急対策として、県は総額36億円余の補正予算措置を講じます。これには感染拡大防止対策のほか、臨時休校等に伴う生活支援や中小企業支援(特別融資に伴う信用保証料補助)などが含まれます。
 県は予算委員会で公明党の質問に対し、今後県税収入が大幅に減少しても、経済回復と県民生活に関わる事業を最優先で実行するために県債の活用も躊躇しないと答弁しました。倒産を防ぎ、雇用と所得を守ることが急務です。
 
 <急発進抑制装置に補助金>     (2月)
 高齢運転者による事故が相次ぐ中、公明党は県議会においてアクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を抑制する装置の効果に言及。国に対しては、手持ちの車への同装置の装着や、自動ブレーキ等を装備した「サポカー」の購入等に際し、補助金の創設を求める意見書を提出しました。
 このほど、国の補正予算で65歳以上を対象に「サポカー補助金」が実現。詳しくは県のくらし安全交通課のホームページで。 (検索は  神奈川県 サポカー補助金)
 
 <IRは根拠に基づく議論を>     (1月)
 旭公会堂で開催されたIR(統合型リゾート)市民説明会。カジノはIR全床面積の3%以内とはいえ、ギャンブルに対する反発感情の強さが激しいヤジや怒号にも表れていました。
 専門家の間では、カジノが社会に与える負の影響を強く指摘する声がある一方で、カジノと犯罪発生率、ギャンブル依存症患者の増加には相関関係がないということも定説になっていると聞きます。
 賛成派、反対派それぞれの主張の「根拠」を見極めることが必要です。
 
 <政治の底力が試される時代>     (令和2年1月1日)
 近年、災害による甚大な被害を免れてきた神奈川県ですが、昨年の台風15号と19号は、私たちの暮らす横浜市にも大きな爪あとを残しました。
 激甚な自然災害が相次いで発生し、「人間の安全保障」への脅威になってきた今こそ、かつて「福祉」をそうしたように、「防災・減災・復興」を政治の主流に位置付けるべきであると公明党は考えます。私たちは災害に強い国と地域をつくるための政策を具体的に推進していきます。

JR直通線が開業
 一方、昨年11月30日には、相鉄線とJR線の相互乗り入れが始まりました。2000年2月の衆院予算委員会。旭区の住民を中心に集めた12万筆以上の署名をもとに上田勇衆院議員(当時)が鉄道網整備の必要性を訴えました。上田氏は「都市鉄道等利便増進法」の成立(05年4月)にも尽力。整備費用を国、県・市、鉄道・運輸機構が3分の1ずつ負担する枠組みを決め、実現に道を開きました。
 その間、04年12月に公明党県議団は事業化の目処を示せないでいた県に、早期着手を要請。06年11月には整備計画を国が認定。10年3月に着工となりました。
 22年度には東急線の渋谷や目黒への乗り入れも実現します。利便性の向上が地域の活性化につながるよう努力します。

IRは冷静な議論を
 横浜では今、IR(統合型リゾート)誘致の是非が世論を二分しています。政治の役割は、価値観や利害が相反する人々を可能な限り納得させる政策をつくり、社会の統合を実現することにあります。横浜市には市民の疑問や不安に正面から答え、合意形成をめざす努力が求められます。
 IRの一部を構成するカジノは世界約130か国で合法化されていますが、その実相は様々です。よく失敗例として挙げられるカンウォンランドは韓国で唯一、自国民が遊べるカジノですが、パチンコが全面禁止となり行き場を失ったギャンブラーが一か所に集中してしまったため、町は荒みきってしまいました。しかし、IRとは名ばかりで、他に観光資源も乏しい山奥の地は、横浜の参考にはなりません。
 賛成、反対という立場にとらわれ過ぎずに、相手にも自分に対しても距離を取り、事実に即した冷静な議論を心掛けていきたいと思います。