2017年のメッセージ
 
 <子どもへの投資が未来を救う>
2017.01.01

 この50年間に、わが国の100歳以上の人口は約300倍になり、平均寿命は100年間で約2倍になりました。神奈川県では人生100歳時代を元気に生きるための設計図づくりに着手しています。ここまでならお正月らしくおめでたい話で終わるのですが…。

 わが国の人口は今後100年間で約8,000万人減少し、20世紀初頭の水準(約4,000万人)に戻ると推計されています。そのような人口急減時代にあって、高齢者人口の比率は増大し、2060年時点では86歳の人口が最も多くなると予想されています。特に首都圏・都市部では高齢者人口が爆発的に増加し、神奈川県にとっても21世紀前半の重大な課題です。

就学前教育の効果
 生涯未婚率の上昇により高齢単身世帯がますます増えて、介護においても公的支援への依存度が高くなります。超高齢社会を支えるコストも増大するばかり。

 財源を生み出す国内総生産(GDP)=人口×生産性なので、人口減少が避けられない以上、先進国で最下位の生産性を向上させるしかありません。そのための処方箋を官民挙げて研究・実践すべきです。

 また、将来にわたって国力を維持・増進するためには、子どもへの投資が不可欠です。特に幼児教育や保育への投資は、それ以上の大きな利益を社会にもたらすことが諸外国の研究により明らかになっています。

 一方、日本財団の推計には、子どもの貧困を放置した場合、将来の所得の減少が約43兆円、財政収入の減少が約16兆円に達し、GDPの1割以上の社会的損失を発生させるとあります。

 フランスでは、3歳になるとほぼ全員が無償の「保育学校」に入学。妻の出産後2週間の「父親休暇」などと相俟(あいま)って、少子化の克服にも一役買っています。

 子どもとその親への支援が、高齢者を含めあらゆる世代に恩恵をもたらすことを、広く理解していただくことが大切です。