引き続き、定額給付金の疑問について考える。
(3月24日)
◇目的がはっきりしない?
 松沢知事は、生活支援なのか経済対策なのか目的もあいまいと批判していたが「所得の減少や物価高のあおりを受ける家計への支援」と、それによって「冷え込んだ個人消費を喚起する」というのは少しも矛盾しない。また、「プラスαの消費(ぜいたく)よりも生活必需品の購入に回ってしまうので効果は限定的」という論調をよく見受けるが、必需品の消費でさえ低迷しているから事態は深刻なのだ。凹んだ部分の穴埋めに使われても、当然その分、消費は回復する。
◇2兆円の使途は他にある?
 2兆円あれば学校の耐震化ができる、いや、失職者の救済だ、それより中小企業の金融支援だと、実にさまざまな意見がある。松沢知事は太陽光発電と電気自動車にも使えという。どれを優先しても不平不満は出るだろうし、何より、それらの政策は総額75兆円という史上最大級の景気対策に盛り込まれている。その中の2兆円だけ、国民全体に恩恵が行きわたり、中低所得層に手厚い減税(定額給付)とするのは、公平で時宜を得た政策と言えると思う。
◇愚策という声ばかりでは?
 冷静に評価する声を新聞やTVは、なぜか取り上げない。経済アナリストで獨協大学教授の森永卓郎氏は「定額給付金はそれほど劣悪な政策なのだろうか」と疑問を呈し、減税によって「内需を増やして景気を回復させようという方向性は間違いない」と主張するとともに、瀕死の「日本経済の止血」策と評価している。
 また、「給付金はほぼ全額が消費に回り、GDP(国内総生産)を0.4%程度押し上げる効果はあるだろう」(藤井英彦・日本総研調査部長)という分析もある。
 みのもんた氏はラジオで「定額給付金よ、ありがとうだね。この僕がほめるんだから、めずらしい。マスコミの報道のあり方も反省しないといけないな。」と述べた。
◇自治体の負担になるのでは?
 自治体の事務が増えるのは事実だが、全国で定額給付金を地域振興につなげようと、積極的な試みが広がっている。本県でも横須賀市や厚木市などが給付金と連動したプレミアつき“地域振興券”の発行を決定(旭区では商店街連合会が発行)。川崎市では、給付事務を担う人手の確保を失業者対策として行なうことを決めている。