知事は「先進的条例」と胸を張るけれど……。
(4月8日)
「犯罪被害者等支援条例」に「地球温暖化防止推進条例」。そのタイトルだけを見れば、文句のつけようのない条例なのだが……。
「犯罪被害者〜」については、昨年12月の県議会定例会で継続審査となっていた。国が犯罪被害者等基本法に基づいて様々な被害者支援策を講じている中で、屋上屋を架すことにならないかという意見が続出したのだ。さきの2月定例会で、綿密な推進計画案が示されたため、辛うじて可決、成立したものの、条例制定の必要性を疑問視する声は最後まで消えなかった。
「地球温暖化〜」は2月定例会に提出されたが、可決は見送られた(6月定例会で継続審議)。施行予定日(本年7月1日)までの期間があまりにも短いことや、国の改正省エネ法や横浜市の生活環境保全条例の改正と施行期日がバラバラでは混乱を招く恐れがあるというのが、継続審議となった理由だ。
 また、国の温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)や省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)より “先進的”であることをアピールしたかったのか、本条例案には、国も求めていない二酸化炭素削減のための計画書の提出を大規模事業者に義務付けるなど、厳しい内容が盛り込まれた。
 相模湾の海水温や港湾の潮位はおろか、気温の変化さえ分析していない神奈川県が、省エネにかけては世界一といわれる日本の大企業をどのように“採点”するのか心配だが、県いわく、大企業は生乾きの雑巾と同じで、まだまだ絞れるのだそうだ。
 わが国が地球環境保全に貢献できるとすれば、それはきっと優れたエコ技術によってである。そして、それらを生み出したのは企業の不断の研究と努力であって、けっして「お上」の力ではないことを思えば、県はむしろ「追い風」を送ることを考えるべきではないだろうか。